骨粗鬆症
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骨粗鬆症とは
骨粗鬆症は、鬆(す)が入ったように骨の中がスカスカの状態になり、骨がもろくなる病気です。骨がスカスカになると、わずかな衝撃でも骨折をしやすくなります。
骨粗鬆症は、それ自体が生命をおびやかす病気ではありませんが、骨粗鬆症による骨折から、寝たきり状態や認知症になる人は少なくありません。
骨粗鬆症の診断
骨粗鬆症の診断には骨密度測定、胸椎や腰椎のレントゲン撮影、尿、血液検査による骨代謝マーカーの測定を行います。当院では橈骨によるDXA法で骨密度の測定を行っております。骨密度の正常値は、成人(20~44歳)の平均値をもとにしています。
基準の80%以上 | 正常 |
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70~80% | 骨量減少(要注意) |
70%未満 | 骨粗鬆症 |
以上の検査結果を見て、総合的に診断いたします。
骨粗鬆症の治療
骨粗鬆症の発病には、加齢や閉経以外にも食事や運動の習慣などが深く関わっています。そのため骨の生活習慣病とも呼ばれ、食事療法や運動療法も骨粗鬆症の予防には欠かせません。しかし、骨粗鬆症と診断された場合には薬が治療の中心となります。 骨粗鬆症の治療薬は、作用によって次の3種類に分けられます。
- 腸管からのカルシウムの吸収を促進し、体内のカルシウム量を増やす薬=活性型ビタミンD3製剤
- 骨の形成を促進する薬=活性型ビタミンD3製剤、ビタミンK2製剤、テリパラチド(副甲状腺ホルモン)
- 骨吸収を抑制する薬=女性ホルモン製剤(エストロゲン)、ビスフォスフォネート製剤、SERM(塩酸ラロキシフェン)、カルシトニン製剤
現在治療に使われる主な薬
- 活性型ビタミンD3製剤
- 食事で摂取したカルシウムの腸管からの吸収を増す働きがあります。また、骨形成と骨吸収のバランスも調整します。
- ビタミンK2製剤
- 骨密度を著しく増加させませんが、骨形成を促進する作用があり骨折の予防に働きが認められています。
- ビスフォスフォネート製剤
- 骨吸収を抑制することにより骨形成を促し、骨密度を増やす作用があります。
ビスフォスフォネートは腸で吸収され、すぐに骨に届きます。そして破骨細胞に作用し、過剰な骨吸収を抑えるのです。
骨吸収がゆるやかになると、骨形成が追いついて新しい骨がきちんと埋め込まれ、骨密度の高い骨が出来上がります。 - SERM(サーム:塩酸ラロキシフェン)
- 骨に対しては、エストロゲンと似た作用があり、骨密度を増加させますが、骨以外の臓器(乳房や子宮など)には影響を与えません。
- カルシトニン製剤(注射薬)
- 骨吸収を抑制する注射薬ですが、強い鎮痛作用も認められています。骨粗鬆症に伴う背中や腰の痛みに対して用いられます。
骨粗鬆症治療においては内服開始後1年で、患者様の5割近くが薬を自分の判断で中止しているというデータがあります。将来の骨折予防のために決められた通りにきちんと服薬することが大切です。
骨粗鬆症治療は、なぜ継続が重要なのか?
高齢者において大腿骨近位部骨折をはじめとした脆弱性骨折が減少しない理由のひとつとして、骨粗鬆症治療の継続率に低さが指摘されています。
実際、近年の報告では、1年間の骨粗鬆症治療薬(ビスフォスフォネート製剤製剤)の服薬継続率は50%以下と報告されており1,2、服薬継続率の低さは骨粗鬆症治療における重要な課題です。
骨粗鬆症治療薬の服薬継続率を下げる要因は、海外の報告では、「服薬動機の不足」(21%)と「治療への無理解」(21%)が挙げられています3。
また、本邦での検討では、週1回投与型ビスフォスフォネート製剤製剤の中断理由の6割が「自己判断」でした。(図)4。
これらの報告から、治療継続率の向上においては、骨粗鬆症治療の必要性に対する患者さんの理解・治療への動機づけが必要と考え、当院では治療目的の説明に重点をおいた取り組みを行っております。
1 Confavreux CB, et al. Eur J Endocrinol 2012; 166: 735-741.
2 Chen Li, et al. J Manag Care Spec Pharm 2015; 21: 824-833
3 Papaioannou A, et al. Drugs Aging 2007; 24: 37-55.
4 田中郁子ほか. Osteoporosis Jpn 2009; 17: 252-255.